困った時に嬉しいサイトブログ:22-6-16

06.22

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50-04

母が不眠症になった。
原因は、癌が見つかったからだ。

65年間大きな病気をしたことがなく、
また医者嫌いの母は自分の病状の説明に怯えきった。

パートの仕事はすぐやめたが
お母さんは人生に絶望してしまっていた。

衣服を処分し、
手紙やアルバムの整理をはじめながら
「一年に一度くらい検診を受けておけばよかった」
と何度も繰り返した。

そして、
よるは眠れず不規則にうたた寝ばかりしている。
睡眠導入剤も処方してもらったが、
本人は「眠った気がしない」と不満げだ。

おれは
不眠症解消の本を何冊も買い求め、
軽い体操をすすめ、音楽をきかせた。

香を焚き、温かいミルクをのませたり
瞑想をさせ、ツボ押しやマッサージもやってみた…

何をやってもこれといって効果はなかったけれど、
ママの精神状態は深刻なほど落ち込んでいるのだから
根気よく続けなければ…とあきらめなかった。

こちらまで不眠症になりそうな毎日が続くなか、
わたくしはみっかほど出張しなくてはいけなくなった。

寝たきりの病人ではないから身の回りの心配はいらないが、
一日に一度は連絡をいれたい。
19時は遅くまで仕事があったので、
朝早くに電話をかけることにした。

ふだん電話などしないものだから新鮮だったのか
母はいろいろと話しだした。

けれど、
おれは疲れていて相槌をうつのがやっとであった。
そうやって2時間ほど母親がしゃべるのをただ聞いていた。

翌日、また同じ時間に電話をかけると、
お母さんはすがすがしい声で「昨日ね、よく眠れたわ」と言った。

「たくさん話を聞いてもらって気がらくになったから」
返す言葉に詰まったおいらの様子に母親は気づかず、
嬉しそうにしゃべりだした。

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